自動旋盤などの工作機械を製造するスター精密は、米投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズ(TPP)によるTOB(株式公開買い付け)を受け入れ、株式を非公開化する。工作機械事業では、米国で保護主義的な貿易政策により製造業の国内回帰が進む一方、それに伴って欧州や中国でも競争が激化。スター精密はこれらに対応するには、経営管理体制や事業ポートフォリオの資源配分に関する抜本的な構造改革が必要と判断した。
TPPの傘下で収益力の向上・収益源の多様化のための継続した戦略的投資を進めるほか、新規事業領域として医療機器事業に参入する。TPPは現在、スター精密の株式36.14%を保有しており、TOBによって残りの全株式を取得する。
スター精密は賛同の意見を表明し、株主にTOBへの応募を推奨している。TOBが成立すれば、同社の東証プライム市場への上場は廃止となる。
買付主体はTPP傘下のソルスティシア(東京都港区)。買付価格は1株につき2210円。TOB公表前開場日の終値1691円に30.69%のプレミアムを加えた。買付予定数は3118万3272株。下限は所有割合30.52%にあたる1480万700株。TOBによる買付代金は約692億円。
買付期間は2025年11月13日~12月25日の30営業日。決済の開始日は2026年1月6日。公開買付代理人はみずほ証券、復代理人は楽天証券。
スター精密は1950年、腕時計用部品やカメラ用部品の製造・販売を目的にスター製作所として設立。1965年に現社名となった。1981年に名証2部に上場し、1984年に名証1部に移行(2006年に上場廃止)。1990年に東証1部に上場(2022年4月に東証プライム市場に移行)。