株式会社ストライクは2025年8月20日、ベンチャーキャピタルの集積拠点「Tokyo Venture Capital Hub」(東京都港区)で、スタートアップと事業会社の提携促進を目的としたイベント「第45回 Conference of S venture Lab.」を開催した。
ソウルドアウト株式会社の創業者である荻原猛氏(現・株式会社ロケットスター代表取締役社長)が登壇。モデレーターを務めた株式会社ABAKAM代表取締役・松本直人氏と共に、起業、上場、M&Aに至るまでのリアルな体験を語った。会場とオンラインを合わせて約90名が参加し、熱気に包まれた。
第1部のトークセッションに登壇した荻原氏は、大学卒業後に企業の体験を経て、2000年に株式会社オプト(現・デジタルホールディングス)へ入社した。
2009年にソウルドアウト株式会社を設立し、2017年にマザーズ上場、2019年には東証一部への鞍替えを果たす。2022年に博報堂DYホールディングスによるTOBで同社を売却後、1年間のPMIを経て、2023年に50歳で3度目の起業となる株式会社ロケットスターを設立した。
ロケットスターが現在取り組むのは、後継者不在の中小企業と、経営者を志す人材をマッチングする「サーチファンド」事業だ。
新たに経営を担う人材を一般的にはサーチャーと呼んでいるが、ロケットスターではこのサーチャーを「承継起業家」とも呼んでいる。
「アメリカではM&Aを通じて事業を引き継ぎ、発展させる形の起業が増えている。私は米国流を研究して、日本の産業構造や経営文化に合う形でローカライズし、根づかせたいと考えている」。
驚くことに、承継起業家として挑戦したいという志ある人が後を絶たず、現在すでに400名以上が登録。主にはベンチャー企業の幹部経験者を中心に、コンサルティングファーム出身者、そして大企業やスタートアップの経営者層など、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まっているという。
「彼らは『自分の力を試したい』『自らの経験と情熱を活かして、地域や産業を成長させたい』との想いをもって門を叩いてくれている。加えてロケットスターの特徴は、承継起業家が孤独にならない仕組みにある。インタビューするとそこに魅力を感じてくれている方が多いと感じます」。「私はサーチファンドのモデルで事業承継問題の解決に貢献したいと考えています。そして中小企業の成長を通じて、日本の再成長を加速させたい」。そう荻原氏は熱く語る。
第2部では、スタートアップ2社によるピッチが行われた。
LOOVIC株式会社(代表取締役 山中 享 氏)は、空間上に人の経験を音声や画像で複製・共有できるプラットフォームを開発。現場作業のノウハウ継承や技術研修などでの活用を目指す。山中氏は「過剰な支援は人の自立を妨げる。我々の技術は、必要な時にだけ経験者の知恵を借りられる、パーソナライズされた支援を実現する」と語った。
株式会社ユーティル(代表取締役 岩田 真 氏)は、AIを活用して中小企業向けに安価なホームページ制作を提供するBPOサービス「ホームページできるくん」を展開。岩田氏は「制作会社と中小企業の価格ギャップという課題をAIで解決する。月額数千円から提供し、すでに月100件の新規受注がある」と強みをアピール。今後はホームページ制作を入口に、集客や採用など中小企業のあらゆる経営課題を解決するプラットフォームを目指すとした。